がんに効く健康食品をお見舞いに持っていきたいのですが……

がんにまつわる素朴な疑問

分かっているようで、なにか曖昧ながんに関する素朴な疑問を集めたコラムがあります。
生涯で2人に1人がかかると言われる「がん」。でも、知っているようで、知らない事、良くわからない事もたくさんあります。医療現場に精通したジャーナリストと専門家によるコラムです。

『がんにまつわる素朴な疑問』

がんに効く健康食品をお見舞いに持っていきたいのですが……

辞めた方が無難です。

多くの がん患者 さんが共通して感じる事ですが、親戚や友人、知人などから「これ、がんに効くらしいよ」と差し入れやお見舞いを頂き困惑してしまう。と言う事が良くあります。
健康食品やサプリメントなどを差し入れる人の立場に立てば、「少しでも、よくなってほしい」「わたしも、少しでも役にたちたい」と言った善意による物であることは十分に分かることですが、患者本人や、その家族にとっては、「ありがた迷惑」になってしまう場合が良くあります。

栄養不足になっては本末転倒

中には患者本人も「可能性が少しでもある物は、飲んでみたい。食べてみたい。」と願っている場合もありますが、体力が消耗している状態で、食事以外の健康食品やサプリメントが
増えてしまったために、本来摂るべき栄養が十分に摂ることができず、結果的に栄養不足になってしまうと言う場合もあります。

また、せっかく善意で持ってきてくれたのに、無下にすることはできないと思い、一生懸命摂取してしまう場合もあるでしょう。

著者の経験によると、

実際、筆者はがんに効くとされるキノコのエキスを飲んでいた患者さんのご遺族に取材したことがあります。その方に、冷蔵庫に残っていたエキス(液体)をもらって飲んでみたのですが、あまりに不味くてコップ一杯も飲み干せませんでした。

それを亡くなった患者さんは「飲めば飲むほど効果がある」と信じて、一日に何リットルも飲んでいたそうです。「好きなものを食べずにこんなものを飲んでいたなんて」と思うと、本当にやりきれない気持ちになりました。

この様な状態になってしまっては、本来の善意も意味のない物になってしまいます。

リスクも無視してはならない

医師が処方した物にもリスクが存在する様に、医師が処方していない物にも、相当のリスクは存在します。

健康食品やサプリメントは効果が証明されていないだけでなく、身体へリスクを及ぼす可能性もあります。ただでさえ、抵抗力が落ちている がん 患者ですから、健康人と全く同じ様に行く訳はありません。

かつて、肝障害を起こした患者を調べてみたところ、キノコの健康食品が原因と疑われたケースがあります。また、健康食品やサプリメントに医薬品が混じっていて、それが有害な作用を及ぼしていたケースも報告されています。

善意が仇になってしまうと、差し入れた方にも大きな精神的なしこりが残る事でしょう。そう言うことも考慮し、極々一般的な食品などを除いては、無闇に差し入れをしない方が無難です。

「自然」や「天然」が安全の証拠ではない

しかし、健康食品やサプリメントの一部には、「自然」や「天然」を明記してある安全な物もあるでは無いですか?と思う方も居られるかも知れません。

キノコやフグにも毒があるように、自然や天然のものだからと言って100%安全とは言えません。確実に安心して食べてもらえると言う様な物以外は、かえって患者さんに害を及ぼしてしまう恐れもあり、また負担をかけてしまう場合もある事を理解しておきましょう。

入院患者間でのトラブルもある

病院に入院している場合でも、入院患者どうしが健康食品やサプリメントを勧め合ったり、売り買いが行われたりすることもあると言われています。(実際、僕もそう言う現場を見た事があります。)
病院内でのその様な行為は、康被害を及ぼすだけでなく、金銭トラブルにもなりかねません。有料, 無料は問わず、第三者が押しつけがましく健康食品やサプリメントを勧めたり、渡したりするのは、やめたほうが無難でしょう。