がん治療が終わった。もう何もしなくていいの?

分かっているようで、なにか曖昧ながんに関する素朴な疑問を集めたコラムがあります。
生涯で2人に1人がかかると言われる「がん」。でも、知っているようで、知らない事、良くわからない事もたくさんあります。医療現場に精通したジャーナリストと専門家によるコラムです。

『がんにまつわる素朴な疑問』

がん治療が終わった。もう何もしなくていいの?

辛いがん治療がとりあえず終了。経過観察 となりました。経過観察 の時期に入ったら、なにをすれば良いのでしょうか?

不安との闘いがはじまる

はじめて がん の告知を受けると、多くの人に 魔の2週間 と呼ばれる期間が訪れると言われています。はじめの1週目は、ただただショックを受けてしまい、なにも考えることができなくなる期間です。次の2週目は、不安や抑うつ感にさいなまれる時期とされています。そして、その期間を過ぎると、初めて冷静に自分が置かれている状況を把握し、治療のためにどの様な手順があるのかを探し求める期間に入るとされています。

経過観察 に入った直後の人にも、魔の2週間 と同様な心理状態に入ってしまう人が一定数居るといわれています。どの要に過ごせば良いのか良く分からない様な期間を経てから、再発 の不安に怯える期間に入ります。その期間が落ち着くと、やっと具体的にどの様に過ごすのが最善なのか、考え出せる期間に入ると言われています。

医師から、「後は経過観察をするだけで、ふだん通り生活してください。」と言われても、「ふだん通りの生活って?」と戸惑ってしまう人も少なくありません。
しかも、がん経験者の多くが、「何もしないと、(また)再発するのではないか」「またがんになるのでは」と言う思いになり、精神的にも普段通りの生活が営めなくなってしまいます。

特に、精神的な圧迫は、がん が喜ぶ環境を作り出す事に近い行為で、本来は避けなければなりません。しかし、多くのがん患者が同じように不安を感じてしまいます。

がんサバイバーのための栄養と運動のガイドライン

ひとつの道しるべとなる物として、

その参考になるのが、米国対がん協会が2012年に発表した「がんサバイバーのための栄養と運動のガイドライン」第4版です(参考文献:『「がん」になってからの食事と運動』米国対がん協会著、村木美紀子訳、坪野吉孝監訳・解説、法研)。

を参考にすることができます。ポイントとして次のように挙げられています。

  • 健康的な体重を達成し、維持しましょう。
  • 定期的に運動しましょう。
  • 野菜、果物、全粒穀物が多い食事パターンにしましょう。

当たり前なことばかり。これなら無理なく続けられそうですね。

しかし、がんと食事や運動についての研究はまだ少なく、これが最新の成果に基づくアドバイスなのです。

今後、この分野についても新し研究成果が報告されることに期待したい限りですが、これが現時点での最新のアドバイスと言うことなので、意識しておきましょう。

全粒穀物の多い食事

目新しい箇所と言えば、全粒穀物の多い食事パターン。と言う部分でしょうか。これは精白していない穀物のことで、茶色い生地のパンや玄米、五穀米などがこれにあたります。

なぜ、これが推奨されているかというと、乳がん患者を追跡した研究で、野菜、果物、全粒穀物、鶏肉、魚類を多く食べている人は、精白穀物(白パンや白米など)、加工肉、赤肉(牛肉や豚肉など)、デザート、高脂肪乳製品、フライドポテトを多く食べている人より、死亡率が低かったという米国の研究があるからです。

十分な検証結果と言う訳では無いものの、傾向として上記の様なことが分かっている。という事は興味深いところです。
日本人の食生活も、欧米化が進んでいるため、入手のしやすさなどの観点だけで考えても、現時点での理想とされる様な食事を採ることは、なかなか大変と言う人も居られることでしょう。少しの意識は必要なのかも知れません。

こうしたことから、玄米雑穀を主食に、季節の野菜や果物、豆類、キノコ類、海藻類、魚を摂り、鶏や卵は少量にして、白米、白パン、赤肉、砂糖、お菓子、牛乳などを避ける玄米菜食は、理想的な食事と言えるかもしれません。

昭和初期には、がん 患者が今よりも多くはなかった。と言われています。理想とするような食事内容を見ていると、なるほど。と思えてきますね。

ストレスになっては意味はない

また、次の事もとても重要です。

ですが、玄米菜食に慣れていない人は、これがストレスになってしまう場合もあります。あるがん経験者の方から、「自分は玄米菜食にしているのに、他の家族が餃子を食べているのを見て、とてもつらかった」という話を聞いたことがあります。

理想だからと言って、過剰になり過ぎるとストレスの原因になります。ストレスを抱える事はがん細胞がとても喜ぶ状態を自ら作り出す事ですから、ほどほどにする事も大切です。
例えば、一日一食だけ玄米菜食を取り入れる。週末は好きなものを食べる。などストレスにならない様なところから始めることも大切なのかも知れません。

さらに、

また、玄米菜食にこだわり過ぎるとたんぱく質や脂質が不足して、かえって病気と闘う体力を落としてしまうと指摘する専門家もいます。ですから「何かをする」ことにこだわり過ぎない程度に、健康に気を遣うといいのではないでしょうか。がん予防は、すべての病気の予防にもつながります。

玄米菜食生活を意識しすぎて、栄養バランスを崩してしまうのでは本末転倒です。

つまり、玄米菜食生活を中心としつつも、ストレスがたまらない様に、また栄養バランスを保つように好きな物も採りつつの生活が理想的。
という事になりそうです。

参考に

経過観察 の過ごし方については、

の記事も併せて参考にして見てください。