最上の治療を受けたいのに「標準治療」を提案された

分かっているようで、なにか曖昧ながんに関する素朴な疑問を集めたコラムがあります。
生涯で2人に1人がかかると言われる「がん」。でも、知っているようで、知らない事、良くわからない事もたくさんあります。医療現場に精通したジャーナリストと専門家によるコラムです。

『がんにまつわる素朴な疑問』

最上の治療を受けたいのに「標準治療」を提案された

標準治療』と言う呼び名に問題がある。呼び方を変えたほうが良い。などと言われる 標準治療 ですが、現代医学では最上位の治療法の呼び名でもあります。

「標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療をいいます」

つまり、標準治療は「松、竹、梅」で言えば、「松」の治療なのです。ですから、最良の治療をしようと言う意味です。

標準治療が生み出される過程

実際の患者を対象にした臨床研究のデータに基づいて決められています。臨床研究といっても様々な方法がありますが、もっとも信頼性の高いのが「ランダム化比較試験(RCT)」と呼ばれるものです。

ある 抗がん剤 の効果を調べる場合、何百人単位の患者さんに協力していただき、効果を確認したい 抗がん剤 を投与するグループと、偽薬 または既存の薬を投与するグループに分けます。そのグループはくじ引きをする様な方法で無作為に分別します。
無作為に分別する理由は、片方のグループに元気な人が多く入ってしまう様な偏りをさけるためです。
この様に分割した複数のグループに対して、効果を確認したい薬と、偽薬 または既存の薬を投与する事で、効果を確認したい薬の効果を確認する事ができます。

各グループの患者さんの成績(生存率など)を、数ヶ月, 数年と追跡調査を行い、比較検討します。
この様な地道な臨床試験により、どの様な患者さんに、どの様な薬をどの様な組み合わせで、どの程度の期間投与することが最善なのかを明確にする事ができます。
そうやって生み出された世界中のデータを、専門家が検討した上で決定した治療方法が「費用順治療」です。科学的に確実性の高い組み合わせの治療を行う事ができるのかが分かってきます。

標準治療 は 化学療法 だけではない

抗がん剤 をはじめとした 化学療法 だけではなく、手術療法, 放射線治療 免疫療法 などでも同様に臨床試験が行われ、それらのデータをもとに、がん種ごとに標準治療をまとめた「診療ガイドライン」が各学会でつくられています。

患者の年齢や体力、価値観などによっても「最善の治療」は変ってきます。そのため全ての人が標準治療を受けなければならない。と言う訳ではありません。ですが、診療ガイドラインは治療選択をする際の標準的な「基準」になることは事実です。