免疫療法って本当に効果があるの?

分かっているようで、なにか曖昧ながんに関する素朴な疑問を集めたコラムがあります。
生涯で2人に1人がかかると言われる「がん」。でも、知っているようで、知らない事、良くわからない事もたくさんあります。医療現場に精通したジャーナリストと専門家によるコラムです。

『がんにまつわる素朴な疑問』

免疫療法って本当に効果があるの?

免疫療法 という言葉をご存じでしょうか。最新の がん 治療法として がん 患者の間で注目を浴びている治療法です。
がんについてインターネットで検索すると、免疫療法を実施する医療機関の宣伝がヒットすることがよくあります。これだけでも、着目を浴びていることが分かってきます。この、免疫療法 って本当に効果があるのでしょうか?

国立がん研究センターの見解

国立がん研究センターが運営するサイト「がん情報サービス」には、免疫療法について次のように書かれています。

「これまでの研究では、残念ながらほとんどの免疫療法では有効性(治療効果)が認められていません。現在、臨床での研究で効果が明らかにされている免疫療法は、『がん細胞が免疫にブレーキをかける』仕組みに働きかける免疫チェックポイント阻害剤などの一部の薬に限られ、治療効果が認められるがんの種類も今はまだ限られています」

この説明だけ読むと、最新の治療法として着目を受けるほど魅力的な治療法には思えません。それでも、インターネット検索では最上位に表示されます。それはどうしてなのでしょう。

自由診療 でも受けたい人がいる

日本の診療には、国が十分な効果があると認めた 保険診療 と、最先端治療など十分な治療効果が認められていない様な治療に用いられる 自由診療 とがあります。現在の免疫療法の多くは 自由診療 です。自由診療 では国の指針が存在しないため、診療を提供する者が自由に価格設定を行うことができます。そのため、商用価値として 免疫療法 が上位に上ってしまう、というインターネットの矛盾的問題が生じてしまいます。

国立がん研究センター の見解にもあるように、現時点では十分な治療効果は確認されていません。それでも、現行の 標準治療 では治療ができない人などが、藁をもつかむ思いで、免疫療法 を試そうとする人もいます。

免疫療法 の仕組み

人間の体には、がん細胞を『異物』と認識し、免疫機能によりがん細胞を排除しようとする仕組みがあります。その免疫機能の力が増強すれば、がんを治すことができるのではないか?というとてもシンプルな発想から生まれた治療法が免疫療法です。

代表的な免疫療法には、患者の血液からリンパ球のみを採取し、そのリンパ球を活性化させた後、患者の体内に戻す「活性化リンパ球療法」や、がん細胞の目印となる がん抗原 に目印となる物質をつけ、免疫細胞ががん細胞を攻撃しやすくするように仕向ける「がんペプチドワクチン療法」, 「樹状細胞ワクチン療法」などがあります。

理屈の上では優れた治療法であるにも関わらず、臨床試験で期待されたほどの成果は出ることはありませんでした。そもそも、がんは免疫細胞の攻撃を免れたからこそ大きくなったわけで、原理的に免疫の力でがんを叩くのは簡単なことではないのです。

それでも、試してみたい

日本では、免疫チェックポイント阻害薬(悪性黒色腫、非小細胞肺がん等)、サイトカイン療法(腎がんのインターフェロンアルファ療法等)、BRM療法(膀胱がんのBCG療法等)など以外では、保険治療 による診療は認められていません。

この様な事情にも関わらず、免疫チェックポイント阻害薬への着目が寄せられたためか、自由診療 で提供する医療機関がたくさんあります。点滴6回前後の1クールの治療だけでも、数百万かかることも良くある事例です。
がん専門医からは、「臨床試験で効果が証明されていないのに、高額な費用を患者から徴収して実施するのは倫理的に問題だ」と批判する声もあがっています。

もう少し時間が必要な治療法

免疫療法 は十分に期待が持てる治療法です。現時点ではまだ十分な臨床研究が整っていないため、使いこなされていないだけ。というのが現実です。がん の完治を目指す治療法として期待が持てる物の、もう少し時間が必要。と思えます。
そのため、数百万円ものお金を自由診療に使用するよりも、別の使い方をした方が患者さんや家族のためにもなる。と言わざる負えません。