そもそも「がん」って、どういう病気?

分かっているようで、なにか曖昧ながんに関する素朴な疑問を集めたコラムがあります。
生涯で2人に1人がかかると言われる「がん」。でも、知っているようで、知らない事、良くわからない事もたくさんあります。医療現場に精通したジャーナリストと専門家によるコラムです。

『がんにまつわる素朴な疑問』

そもそも「がん」って?

無秩序に増殖して、転移する性質のものを「がん」と呼びます。

がん が怖い病気であることは、子供ども知っている人が居るかもしれません。でも、がん の中には様々な物があり、また同じ がん であっても、患者ごとに様々な病状を示す、とても不思議が病気です。

がん細胞は、正常な細胞の遺伝子がいくつも傷つくことによって起こると考えられています。

がん と言うと、遺伝する病気と考えている方も未だに大勢おられる様ですが、遺伝が要因となっている がん はほんの一握りで、多くの場合日々の生活によって細胞が傷つけられる事によって発症する病気である事が分かっています。
ですから、良く言う『がん家系』と言う言葉はあまり意味を持ちません。食生活などの生活習慣が似ている事で、後天的にがんが発症するリスクを高める様な要因を作り出している場合もありますが、遺伝的にがんが次世代に影響を与える可能性は、非常に少ないと言えます。

正常な細胞では、まわりの状況に応じて分裂・増殖していき、やがて適切な段階で増殖が止まります。この様に一定の秩序に基づいて増殖して行くのに対して、遺伝子が傷ついて発生した異常な細胞は、まわりの状況とは無関係に増殖を繰り返します。それがやがて大きくなり腫瘍を形成します。

この段階でできる腫瘍はがんの赤ん坊の様な存在です。

どうしてがん化するのか

異常な細胞が腫瘍をつくったとしても、それだけで がん が発症したとは言えません。まわりの正常な組織に染み込むように広がる様になります。これを 浸潤 と言います。血管やリンパ管などの流れに乗って他の臓器や骨などに飛び火する様に広がります。これを 転移 と呼びます。
この様な性質を持った物を がん(悪性腫瘍) と呼びます。

腫瘍ができたとしても成長がゆっくりで、飛び火しないものは、良性腫瘍 と呼ばれ、がん とは別物として理解されます。

がん が命を奪うメカニズム

がん が命を奪う様な恐ろしい存在になるためには、いくつかの理由があります。

その1つ目は、 臓器の機能が破壊されてしまうからです。正常な細胞に 浸潤 し、正常な細胞が持つ機能を奪って行きます。すると、臓器としての機能を維持する事ができなくなり、命を奪う要因となってしまいます。

もう1つの理由は、正常な細胞が必要とする栄養分を、がん 細胞が奪い取り、正常な細胞の活動を阻害してしまうためです。がん 細胞は、正常な細胞より多くの栄養素を消費し、自分自身が増殖しようとします。その様にして、正常な細胞の機能が奪われてしまいます。

これにより、筋肉がやせてしまい、体重が大幅に減少して、体力が落ちてしまいます。この様にして、がんが取り付いていない臓器の機能も落ち、虚弱体質となり、命を落とす事になります。

がん が多くの糖類を消費する事から、糖類の摂取を抑える事で癌を退治しようとする方法を提唱する人もいますが、この様な本来必要となる正常な細胞への栄養素も同時に奪ってしまうため、とても危険な行為である事が分かってきます。

日本人にがんが増えた一番の要因とは?

1980年頃からがんは日本人の死因1位で、死亡者数も増え続けています。しかし、がんが増えた一番の要因は高齢化です。遺伝子の傷つきが蓄積していくので、年を取れば取るほど、がんになりやすくなるのです。日本人にがんが増えたのは、日本人が長寿になった証でもあるわけです。

多くの場合、がん は高齢になるほど、そのリスクが高まって行きます。それは、長寿により正常な細胞が傷ついてしまうリスクが高まってしまうためです。この様な事情もあり、若年賞で発症する がん は、AYA世代 のがんとして特別扱いする必要があります。

それに、心疾患(2位)、肺炎(3位)、脳血管疾患(4位)、老衰(5位)、不慮の事故(6位)、腎不全(7位)など、人間は様々な要因で亡くなります。がんばかりをいたずらに怖がるのではなく、適切な知識を持って心がまえをしておくことが大切だと言えるでしょう。

単に怖がるだけではなく、適切な知識を持つ事がとても大切である事がわかります。