がんで不幸にならない方法 #2

1000人以上にがんを告知した医師が語る「がんで不幸にならない方法」

文春デジタルに掲載されていた記事です。1000人以上の がん 患者に 告知 をして来た、がん の専門医である森山紀之医師によるインタビュー記事です。全3回の2回目です。

「地域で一番の大学病院だから」「主治医に失礼」という遠慮はいらない

森山先生は積極的に セカンドオピニオン を勧めている医師としても有名な方です。保険対象外 となりますが、セカンドオピニオンがん 治療に置いて大切な選択肢の1つです。
とは言っても、実際に セカンドオピニオン を切り出すのは大変な事です。症状によっては、主治医の方から セカンドオピニオン を薦める場合もある様ですが、稀な事例と考えて良いのでしょう。

医師の中には、患者に正当な姿勢で対峙たいじしてくれない医師も居る様です。その様な場合には、セカンドオピニオン を切り出してみて、その医師の態度を観察する。と言う事も必要な事なのかも知れません。

そうですよね。「あなたが選んでください」といわれて選べる人なんてそういないですよ。なので私はできるだけ「自分ならこうする」という言葉を付け加えるようにしています。以前も、前立腺がんの患者さんが、手術をするか放射線治療をするか迷っておられたので、「放射線の医者と外科の医者、両方のセカンドオピニオンを聞いてください」と紹介状を書いて、「もし私なら放射線治療を選びます」と付け加え、その科学的根拠を示しました。

自分の診断に自信はあるものの、他の医師の意見も聞いた方が良いのかも知れない。と言う思いがあれば、セカンドオピニオン を切り出してくれる医師も居るのかも知れませんが、なかなかそうは行きませんね。
カンファレンス も行われますが、出身大学も出身研究室も同じ医師ばかりでは、複数の医師の意見を聞く意味も半減してしまう可能性もあります。そう言う意味では、違う思想からの意見を受ける事も意味がある事は確かな事です。
それは、良く分かるのですが・・・ と言うのが現実的なところだろうとは思いますが。

治療の信頼性は「ピラミッド」構造

僕も良く惑わされる、『権威』と言うヤツ。医療に関わる業界だけではなく、世の中の多くの業界に存在すると思います。『権威』があるから、必ずも優れている訳では無いと言う事は様々な経験の中で感じている方も大かも知れません。
特に、医療の様に記憶力, 認識力が意味を持つ世界では、若い医師が最新の知識を持っていても不思議はありません。

治療の信頼性って、ピラミッドのようになっているんです。一番上がデータに基づいた科学的根拠で、一番下がクチコミや噂。そして真ん中が実は「権威」なんです。いくらその分野の権威でも、ある程度年齢がいっていると、医学的に遅れている場合もあります。たとえば政治家の言うことが必ずしも正しいわけではないでしょ? あれと同じなんですよ。

それにセカンドオピニオンの外来をやっている医師は常に勉強していますから、最新のデータもしっかりふまえて診察してくれます。そういう医師に意見を聞くことは、とても意義があると私は思っています。

常に勉強をしている人の言葉は、知識がない人が聞いても信頼性を感じる事ができると言う事も日常生活の中で感じる事があるような事です。
医療と言っても、特別な物では無く、ベースに日常社会と同じものが介在しているのだ。と言う事を認識する事ができるだけでも、意味がある事のように思えます。

私がおすすめしているのは、まず自分ががん治療に求めるものをあげ、それに優先順位をつけることです。それができたら、次にそれぞれの治療法のメリットとデメリットをあげ、「自分が何を優先させたいか」に照らし合わせながら治療法を選ぶことです。

「とにかく長生きしたい」「多少余命が短くなっても生活の質を低下させたくない」「痛みを取り除きたい」など、自分にとっての優先順位を見据えることができれば、それぞれの治療法のメリット・デメリットを冷静に検討できるのではないかと思います。

一言で言えば、QOL の選択と言う事なのでしょう。人生に求める物は人それぞれで、それを否定的に捕らえてはなりません。
がん に限った事では無いとは思いますが、どの様に生きたいのか、どの様に治療したいのかは、良く考えて選択すれば良いのだと思います。
そして、これが一番大切な事ですが、一度決めた選択も、いつでも見直して良いのだ。と言う事を常に意識して置くことです。

どんな治療法にもリスクはある

リスクを避ける事はできないけれど、リスクを最小限度にするための選択をする事は可能性。今の状態をなるべく正しく理解し、専門家の指導の元、QOL を十分に意識した上で、「今取れる選択肢の中で?」と問いかければ良いのです。
そのためにも、医療者の言葉を極力正しく理解し、自分の病状や、選択を極力正しく説明できる仕組み作りと努力が必要になります。

また、よく「標準治療は並みの治療で、先進治療が最良の治療」だと誤解している人がいますが、これは大きな間違いです。「標準治療」は「松竹梅」の竹、という意味ではありません。大規模な臨床試験によって効果が証明された、現時点で最良だと推奨できる治療法のことなのです。医師はその標準治療を第一に、患者さんに最善と思われる治療法を提案している、ということを知っていただきたいと思います。

雑誌記事に、医師が がん罹患 したら 化学療法 は選択しない。と言う様な記事を根拠に、化学療法 を拒む人がいます。
よく考えて見る必要があります。医師は基礎医学はもちろんの事、高度な医療知識を持っています。自分の身体に起こっている事を正しく把握し、その対処をいち早く行う能力を競ったところで、一般人が叶うハズがありません。
医療者にできることが、一般人にできる訳では無いので、一般人が選択しうる最良の方法論の中から、特に最善と思える選択肢を選択すれば良いのです。
それが、標準治療 の、手術療法, 化学療法, 放射線治療 です。それを単体で使っても良いですが、より成果が出るように 集学的治療 を試みるのが一番確実な方法でしょう。

でも冷静に考えてみれば、我々はもともと「年齢」という非常に進行の遅いがんを背負っているようなものなんですよ。「がん=すぐ死ぬ」という考えは今も根強くありますが、がんっていうのは、よほど進行していても、1カ月くらいの猶予はあるんです。進行がんでない場合は、「年齢」のようにもっと「猶予」が長くなります。人間は後ろが見えると怖くなるものですが、後ろを見て怖がるのではなく、できることをするための時間を与えられたと思えば、事故や事件で突然命を失うケースに比べて、不幸とは言い切れないのではないかと私は思っています。

がん はゆっくりと進行して行く病気です。様々な治療方法もあります。周辺医療も進歩して言われています。
今の自分の状態を正しく理解し、自分なりの治療方法を選択して行く事が大切です。

がんで不幸にならない方法 #1
がんで不幸にならない方法 #2
がんで不幸にならない方法 #3

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